愛知県 児童福祉司

Iさん

海外での生活経験や、社会福祉法人での勤務経験を持ち、現在は愛知県の児童相談所で児童福祉司として働いているIさん。豊富な経験を持つIさんから、児童相談所のやりがいなどをお聞きしました。

これまでのご経歴を教えてください。

大学を卒業してからは、しばらく海外で生活していました。帰国してからは、フリーターをしながら夜間の専門学校に通い、保育士の資格を取得しました。
その後、社会福祉法人に就職し、母子通園型の児童デイサービス、児童養護施設、児童心理治療施設などに勤務しました。
さらにそこから、放課後等デイサービスを運営している株式会社に転職し、放課後等デイサービス事業所の運営管理や、こどもの直接支援をしていました。
愛知県に社会福祉職として転職し、児童相談所に配属されて3年目になります。

児童相談所で働くことを目指したきっかけは何ですか?

自分の「仕事観」になるのですが、仕事をしている時間は1日のうち約8時間なので、生活の大部分を仕事に充てることになります。そのため、「本当に自分がやりたいことをしたい」と思い、転職を考えました。自分は仕事と生活をうまく切り離して考えられないタイプなので、とにかく興味を持ったことにとことんチャレンジしたいと思い、児童相談所を選びました。
児童相談所に興味をもったきっかけは、前職の会社で働いていた時に、副業として保育短大の非常勤講師を務めていたことでした。
保育の「相談援助」という科目を担当していたのですが、授業の中で虐待を取り扱うときに、自分の感情がすごく揺さぶられていることに気づきました。そのときに、虐待対応、困っているこどもや保護者のことを、自分のライフワークにしたいと気付いたんです。

現在はどのようなお仕事をしていますか?

愛知県の児童相談所では、地区ごとに担当の児童福祉司が分かれており、自分の担当の地区のこどもや保護者の、虐待や子育ての相談をはじめ、非行、障害など、あらゆる相談に乗っています。その家庭ごとの課題に対して、関係機関と連携しながら解決に向けて取り組んでいます。

児童相談所で働く前は、児童相談所に対してどんなイメージを持っていましたか?

これまでの仕事でも児童相談所と関わることが少なからずあったので、大まかなイメージはついていました。学校や施設、放課後等デイサービスでも、こどもや家庭に大変な問題があったときにはいつも児童相談所の名前が出てきていたので、児童相談所はこどもの問題の中心にいて、非常に重要な役割を担っているなと認識していました。
実際に働いてみると職責の重さはもちろんのこと、「やはりここまで忙しいのか…」とひしひしと感じています(笑)

児童相談所の仕事のやりがいはなんですか?

児童福祉司として3年目で、「これがやりがいだ!」というものはまだ見つかっていません。もちろん、相談援助をする中で、こどもや保護者から感謝されることはとても嬉しく、励みになります。ただ、ひとつの問題が解決した時に、その時は「よかったな」と思うんですが、少し時間が経つと「本当にそれでよかったのかな…」という気持ちが沸いてくることもあります。やはり正解のない仕事をしているんだな、と日々思います。
そういう意味では、正解のない仕事で、正解に辿り着くまで向き合い続けているということが、自分にとってのエネルギー源になっているのだと思います。

児童相談所で働き始めて、ご自身の考え方や価値観に変化はありましたか?

自分の価値観がすごく広がりました。多くのこどもや保護者と接する中で、誰しもが「自分の正義」というものを持っていることに気づきました。
例えば、ある情報を私が聞いたときに「これは良くないな」と思ったとしても、直接こどもや保護者の話を聞くと、それぞれに思いや言い分があるんです。
いつも何が正しいのか思い悩みますが、それぞれ自分の中に正義があって、きっとどれも尊重されるべきなのだろうと思います。
このように、自分の価値観が壊されるような機会もすごく多く、視野が広がったり、いろんな角度から物事を考えられるようになったと感じます。

仕事で「大変だ」と感じることはなんですか?それをどのように乗り越えていますか?

児童相談所が関わるということは、そのこどもや家庭にとっては、とても大きな出来事です。児童相談所が関わることで、こどもの生活が変わったり、家庭の形が変わってしまうんじゃないかという畏怖の念は常に感じていて、その責任の重さに「しんどいな」と思ってしまう時もあります。
なかなか家に帰ってからも仕事を切り離せないタイプなので、家でも思い悩んでしまうことがありますが、妻やこどもと一緒に過ごすことで気持ちを切り替えています。この時間に本当に救われています。

児童相談所で児童福祉司として活躍できる方はどんな方だと思いますか?

児童相談所は、誰でも活躍できる場だと思います。児童相談所が対応する問題はすごく多様化していて、様々な価値観のこどもや保護者がいます。そうした方々を支援する職員にも、多様な人材が求められていると思います。

「児童相談所で働くこと」を一言で表すとなんですか?

「社会や世界を変える」ことだと思っています。自分の力は「微力」ではありますが、「無力」ではないと思っています。様々なこどもや保護者と話していると、家庭で起きている問題は、やはり社会の問題や、世界の問題につながっていると思うことがあります。
例えば教育の問題、ジェンダーの問題、貧困の問題、就労環境の問題など…いろいろな社会の歪みやひびみたいなものが、こどもや家族に影響を与えているんじゃないかと思っています。
私が直接的に関わっているのは、目の前のこどもや保護者ですが、その奥にある社会や世界の問題にも直面している気がします。その問題を、微力だけれども変えてやろう、という気概を持って働いています。

児童相談所で働きたいと思っている方にメッセージをお願いします

児童相談所で働きたいと思っている方は、こどものこととか、社会情勢など、なにかしら自分の琴線に触れるものがある方だと思います。
その「なぜ興味を持ったのか?」ということを突き詰めて考えた時に、その矢印が自分だけでなく、こどもや社会、世界に向いているのであれば、ぜひ一度児童相談所で働いていただきたいと思います。